シンポジウム・講演等

研究委員会

研究委員会企画

タイトル
日本版NCAAと、これからの大学スポーツ
日時
2019年3月10日(日)14:30〜16:30
概要

 2013年9月に、東京でのオリンピック・パラリンピック大会開催がIOC総会で決まった前後から、日本のスポーツは変革の時期を迎えることになった。2011年のスポーツ基本法の公布や、2015年のスポーツ庁の発足は特に重要であり、良くいえばスポーツ文化の地位を高める動きとみなすこともできるだろう。しかし、その変化は、アマチュアリズムや体育教育との結びつきを支えにしてきたスポーツ文化の拠り所を見失わせるリスクもはらんでいる。たとえば、2018年5月に起きた大学アメリカンフットボールにまつわる暴力事件などは、間違った意味で「プロフェッショナル」という言葉が大学スポーツの指導者に理念として受容された結果と考えるべきかもしれない。

 こうした状況から、現在、大学スポーツ改革の目玉として喧伝されている日本版NCAAについても、その示す理念は手放しでは歓迎されず、単なる商業化に堕する危険が危惧されている。かつてアメリカで、NCAAの元となる組織が設立された当初は、過熱して自滅に陥りかけた競技に規制をかけ、進むべき方向を示すためであったが、それを再現することが果たして我々にできるのか。他方で、大学スポーツの舞台に観客を入れることは、関係者だけが独善的に是非を判断できていた現状を揺るがし、社会的に健全な理念を共有する機会とも考えられる。大学スポーツの危機を、批判するだけに終わることなく、より望ましい姿に改革する契機として日本版NCAAを活用する道を模索することが、今回のシンポジウムを開催する目的である。

発表者
松元 剛(筑波大学 体育系 准教授)
 「日本版NCAAと筑波大学アスレチックデパートメントが目指すもの」
宮田由紀夫(関西学院大学 国際学部 教授)
 「アメリカでNCAAが果たしてきた役割の歴史と現状」
杉本厚夫(関西大学 人間健康学部 教授)
 「日本版NCAAの導入は、大学スポーツが抱える問題の処方箋となるのか」
司会
西山哲郎(関西大学 人間健康学部 教授)
コーディネーター
松島剛史(立命館大学 産業社会学部 准教授)

学生企画シンポジウム

タイトル
パラアスリートの身体表象
日時
2019年3月9日(土)11:30~13:00
概要

 2020年東京オリンピック・パラリンピックの気運が高まるとともに、マス・メディアに選手が登場する機会も増している。とりわけパラアスリートに関して、その潮流は顕著であろう。そこでは、障害が主に乗り越えるべき対象として報じられることで、「より速く、より高く、より強く」という卓越性の文脈で、アスリートの身体性が強調されている。

 この点について学術では、健常者の身体こそ優れており、障害者の身体が劣ったものであるという、身体に対する一元的な価値意識が強化される可能性が指摘されている(藤田,2002)。また、障害当事者においては、パラリンピアンの活躍が自分を奮い立たせてくれるとみる者もいれば、「乗り越える」というストーリーに共感できず、パラリンピックを否定的にみる者もおり、卓越性の文脈から報じられるパラアスリート身体性について、解釈の二極化がみられるという報告もある(中山,2018)。本シンポジウムでは上記の問題意識を踏まえて、パラアスリートの身体がメディアのなかでどのように描かれているのかという観点から、さらに議論を深めていきたい。なかでも今回は、国際パラリンピック委員会と株式会社WOWOWの共同プロジェクトであるスポーツ・ドキュメンタリーシリーズ『WHO I AM』を取り上げ、検討していく。

 はじめに、番組チーフプロデューサーの太田慎也氏より番組制作における理念や、多様な身体をいかに描くのかに対する葛藤などお話いただく。次いで、同番組内においてパラアスリートの身体がどのように捉えられているのかについて、世話人を代表して竹内(学習院大学大学院)より報告する。一方で、現象学的身体論をご専門とされる武藤伸司先生(東京女子体育大学)からは、身体をめぐる主観的な意味世界についての知見をいただくことで、その後の議論へと続く補助線を得たい。そして最後には、登壇者三者による総合討論や質疑応答を通して、多様な身体の可能性を拓きうる表象、あるいはその付き合い方等について議論を深めたい。

発表者
太田慎也(株式会社WOWOW)
竹内秀一(学習院大学大学院)
武藤伸司(東京女子体育大学)
担当
関東学生フォーラム世話人
竹内秀一(学習院大学大学院)
山本夏生(一橋大学大学院)
中山健二郎(立教大学大学院)

ランチセミナー

タイトル
オリンピック・レガシー・ストーリーを語る‐エスノグラフィー的接近
Telling the Olympic Legacy Story – an ethnographic approach
日時
2019年3月10日(日)12:10〜13:00
開催趣旨
2020年東京オリンピック・パラリンピックが間近に迫っている。研究委員会では、オリンピック・パラリンピックについての研究視角を検討するため、フィル・コーエン( Phil Cohen )氏のセミナーを企画した。短時間のセミナーではあるが、会員間の活発な意見交換がなされれば幸いである。
概要

 演者は、東ロンドンに真新しいオリンピック公園が建設されたことによって最も影響を受けた地域コミュニティについて、2012年以前から7年間にわたり、エスノグラフィックな調査研究を行ってきた。それに引き続き、2012年大会が当該地域社会にどんなレガシーを残したのか、その影響について継続調査を行なった。

 今回の報告では、社会理論、研究方法論、公共政策に関する主要な論点とは何かをいくつかあげてみたい。それは、この調査研究から立ち上がってきたものであり、また現在2020年東京大会に関わっている研究者にとって意味のあるものである。

講演者紹介
フィル・コーエン( Phil Cohen )
東ロンドン大学名誉教授(カルチュラル・スタディ)。ロンドン大学( UCL )先端研究所研究員。著書に、”On the wrong side of the track?”( Lawrence and Wishwart 2013年)(第6章の邦訳は「ありがとう、でももう結構」小笠原・山本編『反東京オリンピック宣言』航思社所収)、”London 2012 and the Post-Olympic City”( Palgrave 2017年)など。

国際交流委員会

国際交流委員会企画

タイトル
平昌五輪とその社会的インパクト:メディアと地域社会の視点から
日時
2019年3月9日(土)15:10〜17:10
概要

国際交流委員会では、今年度の学会大会において、韓国から登壇者を招聘して、2018年の平昌五輪をめぐるセッションを企画しました。とりわけ、メディアと地域社会という二つの軸を設定して、韓国国内において、冬季五輪がどのように報道されどのような世論が構成されたのかを解読すると同時に、冬季五輪の招致と開催がどのような地域社会へのインパクトをもたらしたのかについても議論したいと思います。キム・チャングムさんは、ハンギョレ新聞の記者であり、平昌五輪についても精力的な情報発信をされてきました。そのためメディアについて、当日は議論をしてもらう予定です。また、パク・ボヒョンさんは、冬季五輪の招聘段階より、すでにクリティカルな視点を持った学術論文を執筆してきたスポーツ社会学者であり、地域社会と不均等発展についても議論されてきました。そのため、地域社会の観点から、当日は発表をおこなってもらいます。

 黄順姫氏(筑波大学)、黒田勇氏(関西大学)にディスカッサントとして討論に加わっていただきます。実り多き議論の場となりますよう、委員会でも準備に励んでまいりますので、当日はなにとぞよろしくお願いいたします。

発表者
パク・ボヒョン(大邱カトリック大学)
キム・チャングム(ハンギョレ新聞)
指定討論者
黄順姫(筑波大学)
黒田勇(関西大学)
通訳
森津千尋(宮崎公立大学)
申恩真(北海道大学)
司会
石岡丈昇(北海道大学)

学会大会実行委員会

実行委員会企画(特別講演)

タイトル
新たな栄光をめざす大分トリニータの『戦略』
‐三位一体で成し遂げてきた地域密着のクラブ経営と今後の展望‐
日時
2019年3月10日(日)13:00~14:20
※講演60分、残りの時間は意見交換といたします(講演者のご希望です)。
概要

トリニータの前進は「トリニティー」。イタリア語で「3」を意味する「tri(トリ)」を冠する意図は、県民、企業、行政の三位一体をめざすクラブであると言う。それは今日、見事に体現されたといえよう。
草創期、なかなかJ1昇格を成就できない年が続いたものの、だからこそ、「あともう一歩!」の思いが、まさに県民、企業、行政一体となって醸成され、「おおいたにとって大切なクラブ」となり得た。
はじめてJ1に昇格した後は、ナビスコカップで日本一を達成。「とりあえず祝い酒よばれるか」と、サッカーにさほど関心をもっていなかった筆者もまた、トリニータの存在を歓迎する立場に。その後、経営状態の悪化も伴い、J2、さらにはJ3に陥落。三位一体はここでも発揮される。県行政からの職員出向をはじめとした各種の支援、さらには、県内企業による全面的な支援体制(寄付の高まり)、県民からの応援行動(観戦者数はさして減少せず)等々。
苦しかったであろうJ3時代、クラブもまた努力をしてきた。県内小学校への選手派遣を無償で実践し、子どもたちのトリニータ愛を育んできた。今シーズン(2018年)、見事にJ1へ復帰!心からの賛辞と敬意を表したい。
苦難、栄光、苦難、そして再度の栄光を獲得し、更なる発展をめざすトリニータの「クラブ戦略」の内実に迫りたい。清武、西川といったワールドクラスの選手を輩出したクラブでもある。榎社長は、トリニータ(大分フットボールクラブ)の今後をどう構想しているのか、そして、トリニータを契機とした今後の大分県のスポーツシーンをどのようにみつめ、構想しているのか。お聴きしてみたい。
本実行委員会企画は、Jクラブの社会学であると同時に、地域・地方スポーツ政策の社会学にも通ずるはずである。

(文責 谷口勇一)

講師
榎 徹氏(株式会社大分フットボールクラブ代表取締役社長)
1959年 大分県佐伯市生まれ(59歳)
佐伯鶴城高校から九州大学法学部を卒業の後、1982年に大分県庁に入庁、企画振興部文化スポーツ振興課長、大分県東部振興局長を経て、2016年より現職。好きな言葉は「持続する志」、趣味は40歳を大きく過ぎてはじめたテニス、読書。
※当該日時がJリーグ試合日(ホーム)と重なった場合は、同クラブより他の役員の方にご登壇いただきます。
司会

谷口 勇一(大分大学)